わたしは町に出た。
日が暮れるまでに駅までいこう。
きょうは、町でひとりひとりに糸田川フォーラムのチラシを配りたかった。
気持ちをこめて。
モモの家からまっすぐに糸田川まで伸びる道。
車1台しか通れない細い道だけど
昔この道は駅からの賑わいのあった商店街だったそうだ。
ほんの20数年前のことらしい。
豆腐屋さん
八百屋さん
貸し本屋さん
子どもが涼みに来るクーラーのきいたすし屋さん
金魚すくいの店もあって
毎日が縁日。
この話はきんじょで20数年前からやっているぱんやさんに聞いただけなんだけど
私の想像の中でいきいきと存在している。
実際の今の通りはお店も数えるほどで
外で遊びまわる子どもの姿も見かけなくなった。
道沿いのお家一軒一軒のポストにチラシを入れていった。
それから川を通って駅まで行く。
糸田川フォーラムのチラシに描かれているのは
山や神社や田んぼや畑、真中に流れているのは川。
かえるたちやはだかんぼの人間がおにぎりを食べたり遊んだりしている。
旅人で歌うたいの清火くんが書いてくれた。
駅前で
ひとりひとりに手渡す。
受け取ってくれると嬉しくて「ありがとう」って言った。
いつもはこの日は
垂水神社で鎮魂の太鼓があった。
夕方の5時46分だった。
モモのぎのさんと太鼓サークル野火が続けてきたこと。
ちんどんやに扮して町じゅうを歩いたりもした。
10年を最後にこの太鼓は終わる。
10年を境に、わたしたちひとりひとりに手渡された気がする。
この日をどう過ごすのか。
そして毎日をどう過ごすのか。