3月24日午後4時半を少しオーバーして、「往還」は無事終了した。いやあ、今回初めて大役であるアートディレクターを務めた正木さんは、本当にうれしそうだったなあ。打ち上げで大泣きしていたけど、それだけの仕事だったんだと、本当に喜びも伝わってくる。それにしても、今回は、鶴亀団や周りのみんなも、出来るだけのことをして当日を迎えることになったなあとこころからありがたい気持ちがわいてくる。
初めはぼんやりしていたイメージがだんだん、お互いのデッサンを描き合うことになり、色濃いモノが見え隠れするようになり、それがタイ・チェンマイにいるうさぶろうさんにも伝わっていき、もともと、あんなにショーのための衣装を作るつもりではなかったうさぶろうさんの心も動かし、日本に来る予定を遅らせて、本人曰く「約3週間は不眠不休でデザインとパターン(服に仕上げるための設計図のようなもの)製作に追われた」らしい。
ショーの衣装はこれまで、見たこともなかったような、床をひきずるようなドレスや天女の羽衣のようなケープ。100%ヘンプ(大麻)で製作した、野性味あふれていながら、品位のあるパフォーマンスのための衣装、そして、ラストはウエディングドレスなどの華やかな衣装も用意された。13人のほとんど素人のモデルたちも、それぞれが個性溢れる自分を演出して、観客の前に立った。
自分の為に用意されたかのような衣装を着て観客の前に立ったモデルの人達はみんな素敵で、そのまま、その衣装を一揃い買っていく人もいた。
5日間うさぶろうさんといっしょにいて、<全エネルギーを出し切る>姿に、心から感謝と敬意を感じた。準備から片付け、服の梱包まで、私たち以上によく働き、ショーの時はモデルの人を着せつけ、合間にはお客さんの応対も、すべてをニコニコこなしておられた。
かつて日本でもアメリカやヨーロッパでも第一級のデザイナーの仕事をして成功していたうさぶろうさんが、あるできごとを境に無一文になり、46歳で、あらためて新しいコンセプトで服作りを始めて6年。いつからでもスタートできるという勇気を与えてくれる人だと思う。
そんな人といっしょに楽しんで仕事ができて、モモの家も鶴亀団も、それからふれあったみんなも幸せだと思う。ミサコはよくやった!おつかれさん!