今でもなぜ、Oさんがモモの家の始まりのメンバーにならなかったかは、定かではない。何か、彼女のなかでの思いと、私たちの思いとのなかで齟齬があったのだと思う。「6年ぶりだね」という私。「悠はどうしてる?佑は?」とOさん。そして、私は、彼女の娘、Mちゃんのことを尋ねる。6年を取り戻そうとする駆け足の会話にお互いおかしくなって、下でお茶でもという彼女に誘われて、家で待っている悠のことが気になりながらも、彼女に従った。
お互いのその後のこと、共通の仲間であった者達の消息を伝え合う。なんとか落ち着いた再就職の仕事に至るまでの苦労話。娘の成長ぶりなど、相変わらず漫談口調で休みなく語る。私も話のはずむ方だけど、彼女ほどではないので、合間に口をはさんでも、彼女の話にまた戻ってしまう。
いけない、もう時間切れ、娘の食事は、クレヨンハウスのお総菜でがまんしてもらうことにして、名残惜しくも別れを告げた。「今度のイベントに顔を出してね!」と言うと、彼女らしく、あかんべーという返答で、舌を出した。
小雨のなかを自転車をとばし、帰宅。「ごめんねー」と買ったお総菜を食卓に並べる。「Oさんに6年ぶりで会ったん」と釈明。並べる先からごはんを食べる悠。そこに電話がかかる。元夫からだ。高校入学のお祝いにいっしょにごはんを食べようと言う。悠は食事を終えようとしている。そこへ佑もバイトが早く終わったと帰ってくる。お腹がすいていないという悠も、いっしょに4人で、中華料理を食べることになった。離婚してから2回くらいは4人で食事に行ったことはあったけど、なんだか、良い雰囲気にならずに、4人で食べることはしなくなり、月に数回、元夫と子ども達だけでの食事は、ずっと続いていた。だから、私も入っての4人の食事は7年ぶりくらいかな。本当の家族みたいに仲良く楽しく食事ができた。
何だったんだろうな、この間の変化は・・。でも、きっと必要なことしか起きていないのだろうなというのはわかる。それぞれが、一番楽な自分の位置を見つけて、その場所を確保できたら、また人に優しくできるのだろう。
ぼんやりとしたたき火の時間の後の再会の時間が、とてもとても温かく、春が過ぎ、夏が来て、秋が来て、そして冬になるという芽吹きから実りへの一年を植物とともに生きていくテンポみたいなのが予感された。