秋晴れのなか
ちんどんやであるいた。
衣装着てメイクしてもう誰だかわからん、私たち4人。
アコーデオンが響き、太鼓が鳴る。
「日曜はまつりですよ~」
チラシを渡しながら。
誰だかわからん私になった私は一歩一歩あるく。
町はいつもとちがって見える。
私はいつもよりひとりひとり人をじいっとみつめる。
ちんどんやになればそれができるんだ。
丁寧なまなざしでその人の内面が見えるような気がする。
目が合う人にゆっくりと近づく
怖がらないように。
無言の会話をかわすようにその人も私の目をみたまま近づいてきてチラシを受取る。
かなしみやよろこびや恐れや怒りや
まちのなか人々の中はいっぱいになっているけど
そのとき何かが溶けひろがるかんじがするよ。
閉ざされたドアはひらかれなくても
そこにいるあなたの心の中も・・・